十牛庵ストーリー
Story 現代によみがえる数寄屋造りstory01
現代によみがえる数寄屋造り
さまざまな木材を用い、あるがままの形を活かすことで自然の風情を表す。華美な装飾をするのではなく、質素でありながらも洗練された美しさを尊ぶ私たち日本人の美意識がそこに込められています。
十牛庵の歴史は古く、建造は明治41年。大阪の豪商・清水吉次郎の別荘として建てられ、屋敷と庭園を含めた敷地面積は約2,000坪。普請は数寄屋造りの名匠と名高い上坂浅次郎と北村捨次郎が請け負いました。銘木を惜しみなく使い、細部にいたるまで匠の技を凝らした屋敷は、文字通り贅を尽くした「数寄」。。

それは、流行を追うのではなく、真に「良きもの」を求めた姿でした。十牛庵の誕生から110年。初々しかった床柱は美しい飴色に変わり、丁寧に塗られた漆には深みが加わりました。本物とはどんなに時を重ねようと衰えることのないもの。むしろ時の流れとともに一層美しさが増します。十牛庵は明治の匠から現代の匠へと引き継がれ、「高台寺 十牛庵」として新たな一歩を踏み出しました。
この素晴らしい屋敷を後代に残すため、古いものを新しいものに替えるのではなく、丁寧に磨き、修繕し、現代によみがえらせる。先人達の想いを大切に、新たな風を吹き込んだ現代の「数寄」がここにあります。